ネパールとの連なり
高橋空山(1979)『普化宗史 その尺八奏法の楽理』 pp.25-26
シャカが生れたネパール国には、ガイネと云って、大昔から、管楽器やサランギと云ふ絃楽器を伴奏にして、歌を唄ひ、家ごとに回って歩いては、心付けを貰って、生計を立てて居る部族がある。
その楽曲の内に、メルダ・ラムロ(Merda Ramro)と云ふ曲がある。この曲は、いかにも、家ごとに歩く様に相応しい曲であり、そして、この国らしい輝かしく明るく、家々の人々の倖を祈るものとして、まことに打って付けの曲のやうに思はれる。
ところが、この曲の序奏に吹く管楽器の曲が、こともあらうに、わが国に伝はった最も古い尺八曲の「虚鈴」の曲の序奏と、殆ど全く同じなのには、驚く外ないのである。