スタッカートの謎

スタッカートの謎

全訳バイエル』、なかなか興味深い。説明文の多くが元のドイツ語、どの版から採ったのか知らんが英語訳、日本語訳の3つが併記されてる。

さて、47頁にあるスタッカートの説明が気になった。

ドイツ語はわからんし、βみたいな形の文字やウムラウト附き文字の入力の仕方が分らんので省略。

英語:

A note with a dot over it must be sharply detached. This is done by letting the key go immediately after striking it.

日本語:

ある音符の上に、点・がついているときは、その音符が本来の半分の長さに、短くひかれることを示しています。ですから、すぐ指を離して、本書のはじめのところで学んだ、同じ鍵盤を二度続けて打つときの奏法と比較して練習してください。このひき方はスタカート(Staccato)と呼ばれています。

ドイツ語が読めないので、英語訳が必要な部分を省略してしまっているのか、或いは日本語訳が余計なことを付加しているのか、どちらなのか不明だけど、両者は全く違う意味になっている。英語版に従うと、スタッカートは音符の音価に関係なく必ず非常に短いのに対し、日本語版に従うと、音価の半分なので、例えば全音符に附けたら2拍分の長さになることになる。日本と英米で奏法の習慣が全然違う、訳ないよなぁ。どっちかが誤訳? 初心者向けの教材は読者に前提知識が無いのが前提なので、「そんなの常識でわかるでしょ」というのは通用しないのだから、こういういいかげんなことではダメだ。

全訳バイエルピアノ教則本  全音ピアノライブラリー

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