菊の露

菊の露

手事がない曲。なかなかしぶい。

歌詞・解説

本調子

鳥の声 鐘の音さへ身にしみて 思ひ出すほど涙が先へ 落ちて流るる妹背の川を と渡る船の楫だにたえて 甲斐もなき世と恨みて過ぐる

二上

思はじな 逢ふは別れといえども愚痴に 庭の小菊のその名に愛でて 昼は眺めて暮しもしょうが 夜々ごとに置く露の 露の命のつれなや憎や 今はこの身に秋の風

前半の最後の2節は、「楫」と「甲斐」が「かい」でかかってて、「と渡る」の「と」は副詞で「かく」と対にして使い、「あのように〜このように」という意味なので、「甲斐もなき」の前に「かく」が省略されてるのかな、たぶん。

後半の中程の、昼と夜が対になってる所は、「昼は眺め」の「眺め」は「長雨」にかけてあって、夜の方の「露」と対比になってる。

「楫」と「甲斐」、「昼」と「夜」のどちらの対比も、前の「楫」と「昼」の方が外景を描写し、後の「甲斐」と「夜」の方で心情を重ねている。

ついでに

全然関係ないけど泡盛